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独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター

乳がんのピークは40歳代にありますが、20歳代でもすでに見つかっている方がいます。若い女性に多く、ホルモンに依存することが多いのが特徴です。しこりを自覚して見つかる以外に、検診マンモグラフィなどで見つかることが多くなっています。条件により乳房温存手術が可能です。

年齢別治療件数(1998-2015年)

がんになった人の年齢を示しています。乳がんのピークは60歳代にあります。
当院では、全体的に高齢者が多いのが特徴です。

  件数 割合
20代以下 0 0%
20代 2 0%
30代 31 6%
40代 92 18%
50代 114 22%
60代 118 23%
70代 112 21%
80代 50 10%
90代以上 5 1%
総計 524 100%

年間診療実績(1998-2015年)

過去18年間に治療した乳がんの人数を示しています。

乳房温存について

乳房切断はがんのある乳房を全部切除しますが、乳房温存とは、乳腺を全部切除するのでなく、乳がんが残らないようにまわりの乳腺とつけて切除することで、乳腺を部分的に残すことです。がんの広がりがあまり大きくなく(大体3センチ位まで)、周囲のリンパ節に転移がない場合に乳房温存できる可能性があります。言葉からすると、乳房が左右同じように残るように見えますが、手術した側の乳房は、反対側乳房に比べて小さくなったり、少し変形したりします。例えば2センチのがんでもまわりに2センチの乳腺をつけて切除すると、6センチ近い切除となり、もともと乳房の小さい人は変形しやすくなります。がんが大きくて、乳房温存の適応にならない場合でも、手術前に化学療法を行うことで、がんを小さくし、乳房温存を行うこともあります。

乳房温存を行う場合は温存した乳房内のがんの再発を抑えるために、放射線治療を加えることが必要になります。放射線治療は1日1回、2グレイずつ、計25回(計50グレイ)かけます。放射線照射により、皮膚が硬くなりやすいので、左右の乳房を同じようにしたい場合は、乳房を全部切除して、形成外科で再建をするほうがきれいになることもあります。乳がんの進展の様子で温存できない場合もありますが、温存を希望される場合はそれぞれのメリットと、デメリットを考えて決定していただけたらと思います。

当科では、本人のご希望を優先しています。乳がんの進展状況や、高齢の方で温存を希望されない方もおり、温存率は年によってばらつきがあります。

  乳房温存手術 乳房切除術 手術症例数 温存率
1998 5 29 34 15%
1999 5 24 29 17%
2000 4 27 31 13%
2001 12 20 32 38%
2002 16 22 38 42%
2003 8 30 38 21%
2004 3 16 19 16%
2005 2 21 23 9%
2006 13 22 35 37%
2007 14 18 32 44%
2008 19 12 31 61%
2009 10 17 27 37%
2010 15 15 30 50%
2011 6 8 14 43%
2012 8 14 22 36%
2013 4 13 17 24%
2014 11 22 33 33%
2015 3 21 24 13
全年 158 351 509 31%

5年生存率(2002-2011年)

がんと判明してから、あるいは手術をしてから5年後に生存しているか、死亡しているかを調べて生存の割合を示したのが、5年生存率です。

ステージとは、がんの進行度を深達度(がんがどの深さまで入っているか)、転移(リンパ節にとんでいるか、いないか、肝臓や肺など離れた臓器にとんでいるか、いないか)の状況により分類したもので、通常Ⅰ(0)からⅣまでに分類されています。ステージが大きくなるほどがんの進行度が上がります。死亡の理由としてがんが原因で亡くなることを原病死、他の病気(脳出血や心筋梗塞)や老衰、交通事故などで亡くなることを他病死といいます。このデータでは他病死も含めた死亡としています。手術時の年齢が75歳とすると、5年後には80歳になるわけで、他の病気で亡くなる可能性も高くなります。

対象期間:2002年~2011年
外科で治療した症例 計283例
(手術以外に抗悪性腫瘍剤や放射線で治療した症例も含まれています。)

  1年 2年 3年 4年 5年 症例数
0・Ⅰ 100% 100% 99% 97% 96% 121
100% 99% 98% 96% 95% 114
97% 94% 88% 88% 84% 36
81% 71% 61% 51% 51% 12
全症例 99% 98% 96% 94% 92% 283

※非治癒切除例含む

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