臨床研修部

臨床研究部について

臨床研究部長 小山関哉

 まつもと医療センターでの臨床研究部が活動をはじめてから5年がたちました。国立病院機構は、全国で144に及ぶ病院を運営している独立行政法人であり、日本では唯一最大の病院組織として、そのネットワークを活用して医療の向上に貢献するのみならず、信頼のおける大規模な臨床研究を行うことを目的として多くの病院に臨床研究部を設置しています。その期待される役割のひとつに信頼性のある大規模治験の実施があります。

 治験について簡単に説明しましょう。新しい薬が世の中で使われるようになるには、まず動物実験での主な効果や副作用を調べた後に、ヒトでの有効性、安全性を調べる必要があります。このヒトで行う試験を治験と呼んでいます。治験により有効性、安全性が確認されてはじめて国から使用が認められるのが現行の制度です。新しい薬が保険診療の中で誰でも使えるようになるためには、信頼性の高い治験が行われる必要があります。そのためにはできるだけ多くの患者様の協力を得て治験に参加していただくことが肝要です。さらに、診療レベルにあまり格差のない多数の病院が治験に参加することが望ましいとされています。日本では新薬の開発に伴う治験は欧米に比べて非常に立ち後れていた分野でした。そのために国外で使用されている新薬が日本では使用できないという事例が多々生じることがありました。そこで、国立病院機構では日本での治験を組織として積極的に推進していくことを一つの目標に掲げました。

 この5年間に当院では、呼吸器疾患では気管支喘息、気管支肺炎、慢性肺気腫、がん性疼痛などに、神経内科ではアルツハイマー病、パーキンソン病、消化器科では胃潰瘍などに、循環器では慢性心不全など多くの疾患で実施症例数108例におよぶⅡ相、Ⅲ相の治験症例を積み上げてきました。参加いただいた患者様には心から御礼を申しあげる次第です。幸いにしてこれら症例では治験薬により重篤な健康被害の発症は一例もなく遂行することができました。さらに市販後特別調査、市販後安全性調査などの治験にて上梓された薬剤の安全性有効性調査も行ってきました。これらの調査でも新薬の有効性、安全性の確認がなされています。

 また、まつもと医療センターでは臨床研究部を経由して治験のみならず種々の機構本部主導、専門医師主導の臨床研究にも参加してきました。これらの研究結果は日常の臨床にフィードバックされ、更なる医療の向上に役立っています。

 専門医療の確立と発展が求められる医療におきましては、患者様からの様々な御協力を得ながら治験をはじめ、臨床研究に取り組む体制が少しずつではありますが整いつつあります。今後もご支援のほどよろしくお願いいたします。

 

倫理審査委員会