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独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター

診療内容

当センターの腎臓内科では、腎臓に関する病気の診療に当たっています。
ただし、腎臓癌などの腎臓腫瘍は泌尿器科の担当になります。

腎臓は、腰上部の両側にあるそら豆のような形をした握り拳ぐらいの大きさの左右一対の臓器です。腎臓は血液をフィルターで濾し出すことによって、血液中の老廃物や余分な水分を尿として身体の外に出しています。

尿を作り出す最小単位をネフロンといい、左右100万個ずつ、計200万個あります。1個のネフロンは、血液を濾し出す血管のフィルターである糸球体、濾し出された原尿から必要なものを再吸収したり、不要なものを分泌したりする尿細管・集合管などから成り立っています。

糸球体に異常がおこると血尿や蛋白尿が出現します。尿細管・集合管に異常が起きると腎機能低下が出現します。

具体的な病気としては、自覚症状はあまりなく、健康診断の尿検査で血尿や蛋白尿がみられる慢性糸球体腎炎、たくさんの蛋白尿がでて身体がむくんでしまうネフローゼ症候群、急に腎機能が低下する急性腎不全、徐々に腎機能低下が進行する慢性腎不全、急速に腎機能低下が出現する急速進行性腎炎などの病気があります。

腎臓が原因のものを一次性、全身の病気(高血圧、心臓病、糖尿病、膠原病など)に伴い腎臓にも病気がでてくるものを二次性といいます。

慢性糸球体腎炎は、放置しておくと約4割の方が20年前後で末期慢性腎不全になり、救命のためには腎代替療法(透析もしくは腎移植)が必要になります。進行するかどうか・治療をどうするかは、腎生検(約1週間の入院)といって、腎臓に針を刺して腎組織の一部を採取し、それを顕微鏡で観察する検査を行い、判断します。

残念ながら、進行性の慢性腎不全になった場合は、透析や腎移植の準備と開始が必要です。当院では、血液透析の治療を行っています。血液透析をするためには、内シャントといって、血液をたくさん取り出すことができるように動脈と静脈を結ぶ手術が必要です。当院では、内シャント手術、血液透析治療をしています。通常、血液透析を行えば、末期慢性腎不全の方も元気になり、週3回の通院治療をしています。

持続的携行式腹膜透析(CAPD)や腎移植を希望される方は、信州大学医学部附属病院腎臓内科に紹介しています。

その他、各種特殊疾患に関する血液浄化療法も行っています(診療実績参照)。

診療実績

診療内容 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 総数
腎生検 0 2 4 2 8
血液透析患者数(3月31日時点) 19 25 31 33  
単純血漿交換療法 0 0 23 0 23
二重濾過血漿交換療法 5 2 0 0 7
免疫吸着療法 9 17 8 8 42
LDL吸着療法 4 9 0 0 13
エンドトキシン吸着療法 12 10 1 7 30
顆粒球・白血球吸着療法 0 0 0 0 0
腹水濾過濃縮再静注法 7 18 5 3 33
内シャント設置術 5 12 29 11 57
経皮的シャント拡張術・血栓除去術 5 3 0 0 8
献腎移植登録 1 1 1 1  
生体腎移植紹介 0 0 1 0  

外来は、腎臓病患者を中心に1日再診10~15名、新患0~3名程度。2016年2月以降、近隣実地医家からの、進行した慢性腎不全(近い将来腎代替療法が必要)の新患患者が急増しています。

透析ベッド10床。月水金、火木土の午前・午後の4クールの透析医療を施行し、外来維持血液透析患者は30名前後、入院血液透析患者は常時2~4名。

2016年度の診療実績です。新規血液透析導入は25名。内訳は急性腎不全6名、慢性腎不全19名。急性腎不全患者の転帰は、離脱2名、慢性腎不全に移行1名、転院1名、死亡2名でした。慢性腎不全20名はすべて当院にて内シャントを作成しました。3名は当院で外来維持血液透析施行、16名は他院に紹介し、1名は合併症のため死亡されました。検査や治療入院のための臨時血液透析患者は6名でした。

内シャント設置術は29例、経皮的シャント拡張術・血栓除去術(PTA)は0名(頻回に行う症例が多く、神應透析クリニックでの施行例が増加)施行されました。

血液浄化療法も当院の臨床工学技士のサポートですべての手技が可能です。2016年度は、重症筋無力症に対する免疫吸着療法2名8回、単純血漿交換療法3名23回(血栓性血小板減少性紫斑病2名、抗糸球体基底膜抗体陽性急速進行性糸球体腎炎1名)、重症感染症に対するエンドトキシン吸着療法1名1回、大量腹水貯留患者に対する腹水濾過濃縮再静注療法(CART)4名5回を行いました。

エコー下経皮的腎生検を4件(内訳:IgA腎症1名、膜性腎症1名、巣状糸球体硬化症1名、IgG4関連腎疾患1名)施行しました。

入院は腎臓病患者が主体です。内訳は、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、急性腎不全(全身性硬化症腎クリーゼ、IgG4関連腎疾患)、急速進行性糸球体腎炎(MPO-ANCA陽性、抗糸球体基底膜抗体陽性、)、慢性腎不全患者の合併症入院(うっ血性心不全、肺炎、高カルシウム血症など)、末期慢性腎不全患者の血液透析準備(内シャント設置術)および透析導入、血液透析患者の合併症入院(肺炎、胸膜炎、老衰など)と多岐にわたっています。

診療体制

腎臓内科医5名(常勤2名、非常勤3名、腎臓専門医3名、透析専門医3名)によるチーム医療を行っています。

外来診療(午前)は、月曜日は樋口、火曜日・金曜日は小林医師、水曜日は藤井医師が担当。外来診療(午後)は、月曜日は神應医師、木曜日は中川医師が担当。

透析患者の診療は樋口、藤井(全日)、小林(火金午前)、神應(月曜日)、中川(木金)の5名で担当。入院患者は樋口、藤井(全日)、中川(木、金曜日)が担当。

内シャントの作成・経皮的シャント拡張術・血栓除去術(PTA)は月曜日午後に神應医師、金曜日午前に小林医師が行っています。

現状と今後の展望

2015年7月からエコー下経皮的腎生検を開始しました。2014年7月から月水金午後の血液透析を開始しました。2015年7月からは火木土午後の血液透析も開始しました。2015年4月に日本腎臓学会研修施設に認定されました。2015年12月に日本透析医学会教育関連施設に認定されました(信州大学医学部附属病院が教育施設)。

当院では持続的携行式腹膜透析(CAPD)、腎移植を除く腎臓病のすべての診療が可能です。スタッフ教育を行い、将来的にはCAPDの診療体制確立も検討中です。南松本・塩尻地域の腎臓病の診療に邁進するとともに、若手の腎臓内科医の研修施設として、また将来的には、信大病院に次ぐ中信地区の腎臓病の基幹病院となれるよう努力したいと思っています。

スタッフ