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独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター

皮膚がんとは

 皮膚悪性腫瘍(皮膚がん)は「ほくろのがん」といわれる悪性黒色腫(メラノーマ)が有名ですが、その他にも多くの種類の皮膚悪性腫瘍が存在します。皮膚を構成している細胞(色素細胞、角化細胞、毛包由来の細胞、汗を出す腺細胞など)が、がん化したものを総称して皮膚がんと言います。メラノーマ以外の皮膚がんは、種類によっては、めったに転移することなく適切な治療で根治するものから、悪性度が高く、進行が早く転移しやすいものまで様々です。いずれにせよ、皮膚科専門医を受診することで、これらの皮膚悪性腫瘍のいずれであるのかを正確に診断してもらい、それに応じた適切な治療を受けることが重要です。

 ここでは、よくみられる代表的な皮膚がんについてご紹介します。

症状

1.基底細胞がん

 ほくろに似ることが多いですが、ほくろに比べて青黒く、表面がろうそくの「ろう」のような光沢をもつ結節です。中央が潰瘍となり、周囲組織を破壊しながら進行することがあります。

2.ボーエン病

 見た目が湿疹に似ており、表面が赤くてざらざらしています。形は円形やいびつな形をしています。放置すると進行して次に示す有棘細胞癌になることがあります。

3.有棘細胞がん

 大半は皮膚より突出するいぼ状の病変で、びらんなどを混ずる紅色調の腫瘤で、潰瘍状のこともあります。腫瘤が大きくなると悪臭を伴うこともあります。

4.乳房外パジェット病

 多くが外陰部に発生します。湿疹やたむしに似た赤くて湿った病変が生じ、表面にかさぶたがついたり、白色や茶色の病変も混じることがあります。進行すると病変内に結節や腫瘤が生じます。痒みを伴うことがあります。

5.悪性黒色腫(メラノーマ)

 メラノーマとは、悪性黒色腫と呼ばれ、皮膚のメラニンという色素を作る色素細胞(メラノサイト)ががん化した腫瘍と考えられています。通常、がん細胞がメラニン色素を多量に産生している場合が多く、そのため黒色を呈することが多いため、黒色腫と呼ばれますが、メラニン色素の産生程度により、褐色~茶色などを呈するものも存在し、きわめてまれにメラニンをほとんど産生しないメラノーマがあり、常色~淡紅色を呈することもあります。メラノーマは、できやすい部位や形態などにより主に次の4つのタイプに分けられています。

① 足のうらや手のひら、手足の爪部(正確には爪下部)などに発生しやすく、
  全体の約30%の発生があり、日本人に最も多いタイプです。(末端黒子型)
② 胸・腹・背中など体の中心部や手足の付け根に近い部位に発生しやすく、
  白色人種や日本人でも肌の色が白い人に発生が多いタイプです。(表在拡大型)
③ とくに部位は関係なく、結節のようながん細胞の塊がだんだん大きくなってくる
  タイプです。
  結節のまわりには通常、色素斑(染み出し)がみられません。(結節型)
④ おもに高齢者の顔面に発生しやすく、不規則な形の色素斑(しみ)が徐々に
  拡大してくるタイプです。
  時間がたてば色素斑の中央に結節が生じてきます。(悪性黒子型)

 メラノーマ以外の皮膚がんは、一般的に60歳以上の高齢者での発生が多いです。基底細胞癌、ボーエン病、有棘細胞癌、パジェット病ともに60歳以上で発生頻度が高くなります。若年での発生は極めて少ないのですが、絶対に発生しないということはありません。
 性別では特にどちらかに多いという傾向はなく、男女どちらにも発生します。パジェット病は日本ではやや男性に多いとされています。
 発生部位は基底細胞癌では顔面が、有棘細胞癌は日光に当たりやすい部位(顔、手背など)が多いです。ボーエン病は日光に当たりやすい部位以外に生じることも多いです。パジェット病の多くは外陰部に発生します。

診断

 いずれの皮膚がんも、その臨床像(皮疹の性状、部位など)、ダーモスコピー所見、皮膚生検による病理学的診断を行って診断します。超音波エコーやCTなどの画像診断により、皮膚がんの性状や深達度、全身への広がり(転移)の有無を調べることもあります。

治療法

1.基底細胞がん

 ほとんど転移することはないため、手術のみで根治が可能です。

2.ボーエン病

 基底細胞癌と同様にほとんど転移することはないため、手術のみで根治が可能です。

3.有棘細胞がん

 手術での治療が原則ですが、手術以外では、放射線治療が比較的高い効果があります。特に放射線治療の効果を高くする性質がある抗がん剤と同時に放射線を行う「化学放射線療法」で、さらに効果が高まることが種々のがんで証明され、有棘細胞がんにもときに適用されています。

4.乳房外パジェット病

 手術での治療が原則ですが、手術以外では、放射線治療が比較的高い効果があります。特に放射線治療の効果を高くする性質がある抗がん剤と同時に放射線を行う「化学放射線療法」で、さらに効果が高まることが種々のがんで証明され、有棘細胞がんにもときに適用されています。

5.悪性黒色腫(メラノーマ)

 まず、全身の画像検査(レントゲン、CT、超音波、PET検査など)などを行い、病期(病気の進み具合をI 期~IV期に分けて判断する)を決定し、その病期に従った治療を行います。悪性黒色腫は全身どこの臓器にも転移します。進行した悪性黒色腫に対しては、外科治療のほか、薬物療法、および放射線治療などいろいろな手段を組み合わせた治療(集学的治療)が行われます。薬物療法は薬を注射や点滴または内服することにより、がん細胞を消滅させたり小さくしたりすることを目的として行います。現在では、従来用いられてきた細胞障害性抗がん剤に加えて、免疫チェックポイント阻害薬や、分子標的薬など、新たな選択の幅が広がっています。ただし、使用できる施設が限定されている薬もあります。

 いずれの皮膚悪性腫瘍も進行例では化学療法(抗がん剤による治療)を中心に、手術、放射線などを組み合わせた集学的治療が行われます。